チェンジリング

映画を見終わった後初めて知ったのですが、事実を元にした映画ということで。
実は、最初映画の宣伝を観た時の「帰ってきた子供は別人だった―」っていう部分で
サスペンスホラーとかサイコホラーとかそっち系想像してました。
そういう事もあって、銃撃やら陰謀劇やらそういう派手な出来事が無く
淡々と進みながらもその中でただ我が子の捜索だけを訴え続ける母親の姿は非常に印象に残りました。

無理にハッピーエンドに繋げようとせずに、ただ起こった出来事を描く。
また、登場人物を必要以上に強くも弱くもヒーローにしない描き方は、非常に好感が持てました。
ヒーローで無いからこそ、母親の持つ人間としての強さや弱さが引き立っており
本作品が単なる作り話ではなく、事実を基にした作り話であるという意味を感じられます。

ストーリーの進め方も、大筋で子の捜索を求める母親の戦いを軸として
そこに物語の根幹に関わる事件を絡ませて描く、その描き方が非常に自然で引き込まれます。
(特に最初、事件を解決に導く刑事が登場した時などただの演出かと思いました)

ただ一途に子を求める母親の物語、
巨大な腐敗した悪に対抗する一般市民の足掻き、
1920年代、アメリカの人々の生活を描いた映画、
本作は様々な見方をすることが出来る非常に満足出来るものでした。
この春休みに是非鑑賞されては如何でしょう。